むかしの戸籍(こせき)
明治のはじめごろのお話です。
その当時、香焼は深堀村の一部でした。
子どもが生まれると、戸籍(夫婦を中心にその家族の氏名・生年月日などを書いた役場(やくば)の帳簿(ちょうぼ))を入れる手続きは、対岸(たいがん)の深堀村の役場まで行かなければなりませんでした。
ある時、馬手ヶ浦(まてがうら)部落に女の子が生まれました。そこで入籍(にゅうせき)(戸籍に入ること)するため深堀から郵便配達(ゆうびんはいたつ)に来る郵便屋(ゆうびんや)さんに、家の人が、
「すまんばってん、たのまれてくれんね。この女の子の籍ば、入れとってくれんね。」と頼(たの)みました。
郵便屋さんは、「あー良かよ。」と言って引き受けてくれ、深堀に帰っていきました。