栗辰(くりたつ)のキツネ・
丹馬(たんま)のタヌキ
翌日(よくじつ)の朝、大きなタヌキがワナにかかりました。おじいさんはさっそく、部落の人たちを集めて、
「みんなでタヌキ汁ばたぶうや。」
と話しました。
それを聞いたタヌキは、おそろしくなって、「おじいさん、もう畑は二度とあらしません、どうか許してください。」と、おんおん泣(な)きながら、何度も何度も頭を下げてあやまりました。
部落の人も、おじいさんも「そんなら許してやるばってん、もうぜったいイタズラはすんな!」とワナをはずしてやりました。
それからは、タヌキは畑に出てくることもありませんでした。
そして毎年、秋の満月の夜には辰ノ口の雀ヶ浜(すずめがはま)で、タヌキが仲間を集めて「ポンポコ、ポンポコ」と腹づつみをして部落の人と夜を通(とお)してあそんだそうな。(おはなし 犬塚 エツ、川下ユキエ、桑原マサエ、瀬戸シゲノ、馬郡 サト、村下マツエ)