おみつぎつね
ちょっとむかし、尾ノ上の海岸は白くサラサラとしたきれいな砂浜でした。その浜のずっと先にでっぱるように竹崎(たけざき)という小さな島がありました。
この竹崎の島に、4本のみかんの木があって、いつもみごとな実(み)がなっていました。
そのみかんは「たちばなみかん」と呼ばれ、部落では、とても甘(あま)いと評判(ひょうばん)でした。だれもが1度は食べてみたいと思っていました。
部落の男の子たちは、みかんがほしくてなんどもなんどもきそいあって竹崎の島へ行こうとするのですが、なかなか島へは渡(わた)れませんでした。それは、みかんの木の下に「おみつ」という、とてもきりょうよしの、めぎつねが住んでいて、人間がわたれないように潮(しお)の流れを早くしていたからです。
「おみつぎつね」は、人間がみかんをとったり、島を荒(あ)らしたりするのを恐(おそ)れていたのです。