ノブさんの仕立(した)てやさん
大正のはじめごろのお話です。尾ノ上の子どもたちの、楽しみの1つは運動会でした。
秋の運動会が近づくと、尾ノ上の子どもたちは、学校帰りに里上部落にある「ノブさん」の家によって帰ります。
それは、このノブさんに運動会の体操服(たいそうふく)の寸法をはかってもらうためです。
「ノブさん」はとっても上手な仕立て屋のおじさんでした。
いつもは着(き)ないけれども、運動会の日は「ノブさん」が仕立てたシミーズみたいな下着と、ちょうちんみたいなブルマーを着て、走ったり踊(おど)ったりして、秋の1日を楽しみました。