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種麦(たねむぎ)を持ってきた
弘法(こうぼう)さん

  昔、里のおばあさんから聞いた話です。弘法さんが唐(とう)から修行(しゅぎょう)に行って帰った時、港で役人に調べられました。その時、弘法さんは足のかかとのひふを少し切り、切り取ったところに唐から持ってきた種麦を3粒入れておきました。これは飢(き)きんで苦しんでいた人を救おうという思いからだったのです。ところが役人の近くにいた犬が、弘法さんを見(み)てワンワンとほえました。役人はあやしがり、弘法さんを念入りに裸(はだか)にまでして調べましたが、どこを捜(さが)しても、何もでてきません。犬は更(さら)にほえ続けます。当の弘法さんは、ヒヤヒヤしながら、しんぼう強く調べられていました。しかし、いくら調べても何も出てこないので、役人はとうとうほえ続ける犬をおこって、しまいには、その犬を殺してしまいました。



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