浦(うら)のキツネ(その1)

 昔、田ノ浦の陣地(じんち)(今の田ノ浦団地の敷地)からまっすぐ下(くだ)る道がありました。
雨が降ると溝(みぞ)になり、大変歩きにくい道でした。終戦後のある日のこと、夜中の12時頃まで残業(ざんぎょう)して、早く家に帰りたさに近道(ちかみち)のこの道を山の方へと登っていった時のことです。
 畑のそばを登ってちょうど山の中間位(ちゅうかんぐらい)のところで、先の方に誰(だれ)か歩いていました。誰の姿(すがた)か見(み)おぼえはありませんでしたが、白っぽい服を着ているのはわかりました。夜中のことでもあるし一緒に行こうと思っていそいで歩きましたが中々追(お)いつきません。追いついたと思うと先にと行っており、とうとう山の上まで登ってしまいました。でもそのてっぺんには誰もいません。「おかしかなー」と思いましたが、それがキツネかどうかはわかりません。
(おはなし 大井 誠、坂井政義、坂井イチヨ、島田トミ、寺下マサヨ、寺濱ツヤ子、
時津スエコ、徳永九州男、徳永タツエ、船場慶一郎、松村ヨリエ、山崎廣樹)



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