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栗ノ浦(くりのうら)の
お地蔵(じぞう)さん

 むかし小川さん方(がた)の先祖(せんぞ)は、山口からきてご主人さんの明さんでちょうど7代目になり、屋号(やごう)は笠戸屋(かさどや)というそうです。
 その家の横に祭ってある地蔵さんの話です。4代目の伝作じいさんの時に、ある日漁にいったら、いわし網(あみ)の中に死んだ男の人が入っていたそうです。かわいそうにと思いかわりに地蔵さんを作って小川家の墓(はか)がある場所の一番上にまつりました。そのあと雨がふったら死んだ男の人をうめたところから、
 ♪「故郷恋しやわがふるさとのしばのおりえもなつかしか」という歌が聞こえてきたそうです。そのあとのつづきが何と言っているのか、わかりにくいので地蔵さんのところに行ってみましたが、やはりわかりませんでした。これは何かあると思い、山口の人に頼(たの)み、みかげ石で地蔵さんを作り直してもらいまつったそうです。それから歌は聞こえなくなりました。しばらくすると家の者がよく病気ばかりするので、神さん(きとうし)に見(み)てもらうと「お地蔵さんが小川さんの方へ移してくれといっているので移した方が良い。」と言われたそうです。それで小川さんの庭に移しましたが、又事情があって小川さんが引越すとやっぱりそのお地蔵さんが「元家(もといえ)の小川さんへつれて行ってくれ。」と家の人に頼んだそうで、結局(けっきょく)今の家の横につれてきて、落ち着いているということです。



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