三吉山のやかんころばし
むかしむかし、尾ノ上の急なくだり坂に、竹やぶや椎の木のしげった、「三吉山」という山道がありました。
その山道に「三吉ギツネ」といういたずら好きなキツネがすんでいました。
部落の人たちが、本村からの帰り道、この山道を歩いていると、必ず悪さをするのです。
そのいたずらは、何もしないのに、部落の人をころばしたり、すべらしたりしました。
そして、お昼でも夜でも人が通ると、後の方から追(お)うように、「ガラン、ゴロン、コロコロ」と、まるでやかんをころがしたような音がするのです。
また、雨の日や風の強い日には山の竹やぶや椎の木をゆすり同じような「ガランゴロン、ガランゴロン」という音をたてるのです。子どもも大人もいつもビクビクしていました。