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オランダ船を引き揚(あ)げた
喜右衛門(きえもん)さん

 10月17日(寛政(かんせい)10年・1798年)のことです。
 オランダ船エリザ号のスチュアート船長は、出島にいるオランダの人たちが、神崎(こうざき)に見送りにきて長い航海(こうかい)の無事(ぶじ)をいのって、おたがい楽しく話しあったことを思いだし、
「何とか今度も無事にバタビアにつけば良いがなー。」
と思いながら明日の出発のためいかりをあげ、静(しず)かに風をまっていました。
 ところが、夕方から強(つよ)い西風がふきはじめ、波(なみ)は高く船をもち上げ、雨もおそろしいほどドシャブリになってきました。
 水夫たちがあれよあれよと思うまに、夜中にはとうとう暴風雨(ぼうふうう)になってしまいました。
 そして船は流されて高鉾島脇(たかぼこじまわき)の唐人ヶ瀬(とうじんがせ)にのりあげてしまいました。



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